分子病理学講座 戻る
Department of Molecular Pathology
部 門 総合医薬科学部門
分 野 生体機能病態学分野
ホームページ http://srv02.medic.kumamoto-u.ac.jp/dept/molpath/molpath.html



准教授 今村 隆寿
taka(アットマーク)kumamoto-u.ac.jp
助教 新森 加納子
kitakana(アットマーク)kumamoto-u.ac.jp
研究テーマ
【研究プロジェクト名および概要】
  1. 慢性関節リウマチにおける炎症性細胞浸潤の調節機構
    炎症性滑膜組織中のS19リボソーム蛋白由来のマクロファージ遊走因子及び、関節液のマクロファージ走化抑制活性を持つC4aアナフィラトキシンやサイトカインの役割を軸に解明する。
  2. 血漿キニン系の血管透過亢進作用機序及び役割の解析
    敗血症性ショック、細菌感染防御、アレルギー反応上の役割について、in vitro及びin vivoで解析する。
  3. 多核白血球依存性血管透過性亢進機構の解明
  4. アポトーシス細胞の単球による排除機構
    癌細胞のアポトーシスの際に、産生・放出されるS19リボソーム蛋白由来のマクロファージ遊走因子の役割を軸に解析する。
  5. 生理活性機能を持つ海藻多糖類の探索
    白血球走化作用や血管透過性亢進作用を有する海藻多糖類を探索する。
  6. 炎症、免疫反応における血液凝固反応誘導とその意義の研究
    マラリア感染ヒト胎盤やサルのアレルギー炎症モデルを使って免疫反応における血液凝固反応、特に、白血球の血液凝固開始因子tissue factorの発現や、フィブリン沈着との関連を免疫組織染色やin situ hybridization法を用いて解析する。また、糸球体腎炎患者尿でトロンビンとVEGFの関連も調べている。
  7. 白血球や細菌プロテアーゼの病原作用の研究
    好中球エラスターゼ、肥満細胞トリプターゼ、歯周病菌及び黄色ブドウ球菌プロテアーゼの血管透過性亢進作用や、血液凝固誘導作用等を調べ、感染症やアレルギー反応におけるプロテアーゼの機能を解明する。
  8. エンテロキナーゼの局在と機能の研究
    膵臓だけでなく体内に広く分布していることが明らかとなった消化酵素トリプシンの前駆体を活性化するエンテロキナーゼの消化管を含めた各種正常組織や癌細胞での発現、及びその機能を調べている。
  9. ハブ毒中の血管透過性亢進物質の研究
    ハブ毒からの血管透過性亢進因子を分離し、その活性の性質及び受容体を調べ、毒性発現機序解明と毒に対する治療法の開発を目指す。
  10. 病理解剖及び生検診断
    実際のヒト疾患の病理形態学的変化を詳細に解析し、その臨床像との比較検討を通じて、機能と形態の関連を研究すると共に、上記実験病理学的研究の臨床病理学への接近と対応をめざしている。


[拡 大]
C5aの癌への作用とC5a-C5a受容体系を標的とした癌治療プロジェクト

プロテアーゼや受容体の炎症・感染症および癌の発症や進展への作用を研究し、標的治療への応用をめざす。白血球や細菌のプロテアーゼの病原作用解析から、歯周病、アレルギー炎症、敗血症性ショック病態を解明し、プロテアーゼ阻害剤の治療応用を計画している。最近、癌細胞が自身の膜プロテアーゼによってアナフィラトキシンC5aを産生することにより、受容体発現癌細胞が自己活性化して浸潤を亢進することを明らかにした。実際、C5a受容体は様々な臓器の癌が発現しており、この受容体を発現する胃癌や乳癌患者は生存率が低いことから、この系を標的にした治療法開発へ研究を発展させている。

さらに、治療困難な去勢不応型前立腺癌のみに存在するプロテアーゼを発見したので、新規治療標的としての応用研究が進行中である。

Proteases and receptors have been investigated in the pathophysiology of inflammation, infection and cancer. Virulence activities of proteases from leukocytes and bacteria have been elucidated to study allergic inflammation, periodontal disease and septic shock, which opens up therapeutic availability of protease inhibitors for the diseases. Cancer cells auto-activate through the release of C5a from C5 by a protease on the cell membrane and enhance invasiveness. Cancer cells from various organs express anaphylatoxin C5a-receptor (C5aR) and low survival ratios of patients with C5aR-expressing stomach or breast cancer cells suggest the C5a-C5aR system as a promising target for cancer therapy. We found a protease of castration resistant-prostate cancer, which is hard to treat, and plan to use it as a new therapeutic target.