Home > 熊本大学大学院生命科学研究部 > 研究講座一覧 > 小児外科学・移植外科学講座
小児外科学・移植外科学講座 戻る
Department of Pediatric Surgery and Transplantation
部 門 先端生命医療科学部門
分 野 成育再建・移植医学分野
ホームページ http://www2.kuh.kumamoto-u.ac.jp/ishoku/



教授 日比 泰造
准教授 菅原 寧彦
助教 本田 正樹
研究テーマ
【研究プロジェクト名および概要】
肝移植の成績向上に関する総合的研究
生体肝移植は既に国内では2000例を越え、小児、成人を問わず、難治性肝疾患に対しての一治療手段手段として確固たる地位を確立してきた。 しかし、まだ未解決の問題も数多く存在しており、我々は、さらなる成績の向上に向けて、いくつかの臨床的、基礎的研究を進めている。

  1. 肝移植手術術式の改善に関する臨床的研究
    移植手術においては、血管吻合(マイクロサージャリーを含めた)、胆管吻合といった高度な手術手技が要求されるが、技術の改善とともに、症例に合わせた術式の選択を行うことにより、 移植成績の向上をめざしている。特に、右葉グラフトにおける肝静脈前区域技の再建や、過小グラフトにおける門脈過剰血流の防止などの必要性については、ドプラーエコーによる血流評価を中心に、 術中門脈圧の測定などを加えて検討しており、適切な術式を確立するための臨床研究を実際の移植手術と平行して行っている。

  2. 移植後の感染と拒絶のコントロールに関する臨床的研究
    肝移植後の術後管理において重要になるのは、 やはり免疫抑制剤投与による拒絶反応の管理と免疫低下状態に伴う感染症の予防、治療である。 拒絶と感染はその治療の方向性は正反対であるにもかかわらず、臨床症状が類似しており、治療方針の選択に難渋することも多い。 II.6、IL8、ICAM1などある種のサイトカインが、炎症とともに、拒絶反応にも関与することから、 これらのサイトカインの変動を測定し、感染と拒絶を鑑別できるようなマーカーとなるものがないかどうか検討中である。 また、II.6、IL10、TNFαなどのサイトカインには遺伝子多型性があることがわかっており、 それが個々人の免疫応答の強さに関与していることが報告されている。 我々は、肝移植後、免疫抑制剤から完全に離脱した症例を中心に、それぞれのサイトカインの遺伝子多型性の有無を調べ、 免疫寛容と遺伝子多型性の関係について、検討中である。

  3. ラット肝移植モデルを用いた基礎的研究
    ラット肝移植モデルは最も手軽で有効な実験モデルである。 我々はそのモデルを用い、いくつかの基礎的移植実験を計画、施行中である。 S-ニトロソ化α1アンチトリプシンはNO供与体として臓器の血流や組織の保護作用があることが指摘されている。 この物質の経門脈的投与が、グラフト肝の生着率の向上に寄与するかどうか、 また術中のステロイド投与にかわるものとなるかどうかラット肝移植モデルで検討中である。 また、FAP(家族性アミロイドポリニューロパチー)のトランスジェニックラットが作成されたので、FAPラットへの正常肝の移植や、 ドミノ移植を念頭においた、FAPラット肝の正常ラットへの移植などを行い、 FAP疾患において蓄積する異型トランスサイレチンの肝移植後動向について検討している。

小児外科と移植外科という再建外科領域を念頭に、臨床の場にフィードバックできるような研究を目指している。小児外科領域では、生命資源研究支援センターと共同で、胆道閉鎖症の病態に関する基礎的な研究を開始した他、小児悪性腫瘍に関する全国調査研究に参画している。移植領域では、肝臓及び小腸における虚血再灌流障害の病態解明や障害軽減を目標に、2光子励起レーザー顕微鏡を用いたreal timeかつin vivoでのマウス好中球の動態観察を行っている。また、熊本に多い神経難病であるFAP(家族性アミロイドポリニューロパシー)の患者由来のiPS細胞の樹立に関する研究や、悪性腫瘍に対する抗腫瘍免疫療法に関する研究、さらには移植後免疫応答の制御を行っていると考えられる制御性T細胞に関する基礎的臨床的な研究なども行っており、臨床課題を動機に移植に関連した幅広い研究を遂行している。

バックテーブルの保存液内にある、切除された肝外側区域グラフト。この後レシピエントに移植される。
The picture of the lateral segment liver graft on the back table, which will be implanted in the recipient

The research we intend to conduct has a translational potential in the field of pediatric surgery and organ transplantation. Biliary atresia is one of our targets to disclose the mechanism and progression, in cooperation with basic research groups. In organ transplantation research field, to investigate the mechanism of ischemia reperfusion injury of liver and small intestine, we successfully use two-photon laser scanning microscopy for intravital imaging of real-time neutrophil recruitment. Also, the studies of generating FAP-specific iPS cells, cancer immunotherapy by utilizing macrophages from human iPS cells and elucidating dynamics of regulatory T lymphocytes which modulate immunological response are now ongoing. These are originated from the clinical problems to be overcome.