がん生物学講座 戻る
Department of Cancer Biology
部 門 先端生命医療科学部門
分 野 がん医学分野
ホームページ http://kumamoto-cancerbiology.com



准教授 山口 知也
tyamaguchi(アットマーク)kumamoto-u.ac.jp
助教 山本 真寿
myamamoto(アットマーク)kumamoto-u.ac.jp
研究テーマ

私たちの研究室は、2016年11月に新しくスタートした研究室です。がん生物学講座では、肺がんを中心に難治がんの発生・進展のメカニズムの解明を目指した基礎研究から、革新的な診断・治療へのトランスレーションを目指した応用研究まで、多角的に研究を進めております。当研究室の特徴の一つは、新しい研究講座や技術、解析手法などを積極的に取り入れ、癌の本態解明に向けて先端的基礎研究を推進し、新しいブレイクスルーを見出すため、日々挑戦し続けているところです。それによって、難治がんの分子病態を一つの疾患として総合的に理解するとともに、得られた結果を難治がんの克服につなげていきたいと考えています。

【主な研究プロジェクト】
1.癌細胞における生体膜ダイナミクス制御機構の解明
2.肺がんの分子病因の探索・同定及び分子病態の解明
3.分子標的薬による耐性獲得機序の解明とその克服
4.肺がんに対する革新的な治療薬の開発


 これまでに私たちは、名古屋大学大学院医学系研究科の高橋隆先生とともに、世界に先駆けてTTF-1により特異的に転写活性化される遺伝子として受容体型チロシンキナーゼであるROR1を同定し、肺腺癌の生存に必須な分子であることを明らかにしました(Cancer Cell, 2012)。またROR1は生存シグナルを維持するとともに、アポトーシスシグナルを負に調節することも分かり、両者のシグナルのバランスを癌細胞にとって有利に制御することが判明しました(Cancer Sci, 2016)。さらにTTF-1は生存シグナルを担うROR1以外にも浸潤・転移に対し抑制的に働くMYBPHという細胞運動に関わる遺伝子も同時に活性化するなど、TTF-1は癌にとって「諸刃の剣」として働くことも突き止めました(EMBO J, 2012; Cancer Cell, 2013)。最近私たちは、ROR1が細胞膜に存在するカベオラ構造の維持を通じて、カベオラに集積するEGFRやMET、IGF-IRなど様々な受容体からの生存シグナルを維持し、肺腺癌の生存を担っていることを見出しました(Nat Commun, 2016、図1)。この結果はROR1を分子標的とすることで、バイパス経路によって生じるEGFR阻害剤(ゲフィチニブ)などの薬剤耐性に関わる様々な受容体の活性化を一網打尽に抑制できる可能性が示唆されました。また今回の発見は、ROR1がカベオラ制御分子として普遍的な細胞膜ダイナミクスに深く関与していることを同時に示すものとなりました。
 現在、がん生物学講座では、肺がんを中心に難治がんの発生・進展のメカニズムの解明を目指した研究から、革新的な診断・治療へのトランスレーションを目指した研究まで、多角的に研究を進めております。私たちは、難治がんの分子病態を一つの疾患として総合的に理解するとともに、得られた結果を難治がんの克服につなげることを目標としております。

We previously identified receptor tyrosine kinase-like orphan receptor 1 (ROR1) as a target for transcriptional activation via the lineage-survival oncogene TTF-1 in lung adenocarcinoma (Cancer Cell, 2012). ROR1 is necessary to sustain the EGFR survival signaling in both kinase-dependent and -independent manners. ROR1 also sustains a favorable balance between pro-survival PI3K-AKT and pro-apoptotic ASK1-p38 signaling pathway in lung adenocarcinoma cells (Cancer Sci, 2016). We also identified MYBPH as a transcriptional target of TTF-1 and its ROCK-inhibiting and consequently invasion and metastasis-inhibiting roles (EMBO J, 2012). We therefore proposed that TTF-1 is an enigmatic oncogene that functions as a double-edged sword for cancer cell survival and progression (Cancer Cell, 2013). Recently, we found that ROR1 facilitates the interaction of CAVIN1 and CAV1 at the plasma membrane in a kinase activity-independent manner, which in turn sustains caveolae formation and pro-survival signaling towards AKT through multiple RTKs such as EGFR, MET and IGF-IR, via its scaffold function for CAVIN1 and CAV1 in lung adenocarcinoma (Nat Commun, 2016; Fig. 1). These results suggest that the scaffold function of ROR1 is an attractive target for overcoming EGFR-TKI (Gefitinib) resistance due to bypass signaling in lung cancer. We also found that ROR1 as a caveolae-regulation molecule is involved in cell membrane organization and dynamics in cancer.

The goal of our laboratory is to understand the molecular pathogenesis of human solid tumor, hard-to-cure cancers, especially lung cancer, and then to translate our findings in order to develop novel strategies for better diagnosis, treatment and prevention.