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シグナル・代謝医学講座 戻る
Department of Cell Signaling and Metabolic Medicine
部 門 総合医薬科学部門
分 野 代謝・循環医学分野
ホームページ https://www.moroishi-lab.com/



教授 諸石 寿朗
moroishi(アットマーク)kumamoto-u.ac.jp
助教 山内 隆好
研究テーマ

シグナル・代謝連関による生体恒常性の維持機構とその破綻



生体において組織が動的な恒常性を維持するためには、その構成因子である個々の細胞が周囲の環境に応じて増殖・分化・死などの細胞運命を適切に選択することが重要であり、この仕組みの破綻は、組織の萎縮や機能不全、または過形成・がんといった様々な病態につながります。シグナル・代謝医学講座では、細胞内シグナル伝達と代謝制御が連携して細胞運命を決定する仕組みを分子・細胞・組織・個体の各レベルで解き明かすことを目標に、以下の研究課題を中心として基礎医学研究に取り組んでいます。
これらの研究を通じて、代謝性疾患やがん、免疫関連疾患などを理解し、革新的診断法や治療法を開発することを目指しています。

【研究プロジェクト名および概要】

T. Hippo経路による細胞運命の決定機構

Hippo経路はもともとショウジョウバエの遺伝学的モザイク解析法によって明らかにされたシグナル伝達系で、その経路の全貌は未だ謎のベールに包まれています。私たちは過去の研究において、細胞外環境に応じたHippo経路の制御機構や生命機能などを明らかにしてきました(Nat. Rev. Cancer 2015等)。近年、Hippo経路は臓器の発生や大きさの制御、組織再生、また、がんの生物学など様々な生命現象に重要なシグナル伝達系として飛躍的に研究が加速しています。私たちもHippo経路の全貌解明に向けて一翼を担うべく、今後も新たな制御メカニズムや生物学的意義の解明に取り組んでいきます。

U. 鉄代謝の制御機構と生命機能

鉄は生命活動に必須の微量金属であり、生命はその起源から鉄を利用して代謝活動を行ってきたと考えられています。われわれ哺乳類においても、鉄はエネルギー代謝や核酸代謝、エピジェネティクスなど広範な細胞機能に必須の役割を担う一方で、その過剰は活性酸素を生じ細胞毒性を有するため、生体内における鉄代謝は厳密に制御されています。私たちはこれまでの研究で、鉄代謝の恒常性がユビキチンリガーゼFBXL5によって保たれており、その破綻は個体発生や細胞分化、および様々な臓器の生理機能に異常を引き起こすことを明らかにしてきました(Cell Metab. 2011等)。歴史ある鉄代謝研究ですが、未だに多くの謎が残されており、今後も新しい鉄代謝ネットワークの解明に向けて研究を進めています。

V. がん免疫の成立機序

腫瘍微小環境にはがん細胞や免疫細胞など多数の細胞が存在し、互いに相互作用しながら腫瘍運命を決定します。私たちはこれまでの研究で、がん細胞におけるHippo経路や鉄代謝が宿主のがんに対する免疫応答を制御することを明らかにしました(Cell 2016等)。このように腫瘍微小環境においてがん免疫が成立するメカニズムを解析することで、多細胞生物において細胞内シグナル伝達や代謝制御が細胞間コミュニケーションを通して統御する生命機能の解明に挑んでいます。

In multicellular organisms, different types of cells are cooperatively organized to form tissues in the body. Cells continuously detect broad signals from their environment and integrate the information to decide their fate. Dysregulation of this mechanism causes a broad spectrum of disorders in humans, including tissue degeneration and cancer. Our research interests involve physiological mechanisms regulating tissue homeostasis and integrity. We would like to understand how cells sense their environment and appropriately adapt their biological activities, especially in the regulation of cell signaling and metabolism. The goal of our research is to understand molecular mechanisms operating in tissue physiology as well as pathological disruptions, such as metabolic disorders, cancer, and immune-mediated diseases. We aim to provide scientific basis for drug discovery for those diseases. Please visit our English website for details (https://www.moroishi-lab.com/english/).