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先端生命医療科学部門

麻酔科学 Department of Anesthesiology

部門
先端生命医療科学部門
分野
成育再建・移植医学

スタッフ

教授 平田 直之
助教 中村 真吾
助教 藤本 昌史

研究テーマ

【研究プロジェクト名および概要】

  1. 膜型人工肺による呼吸循環不全患者救命、脳蘇生の研究
    新しい呼吸循環管理法として、膜型人工肺によるガス交換補助の安全化、実用化。
    体外循環による脳蘇生の効率化。
  2. 諸薬物の影響下における中枢・末梢・自律神経,筋活動の検討
    侵害刺激に対応する生体反応機序の解明
  3. 虚血性脳障害の機序、脳保護因子の解明の研究
    細胞・分子レベルでの虚血後脳症の修復課程の解明。
  4. 急性・慢性疼痛に対する鎮痛対策の研究
  5. 人工臓器・人工血液・循環血液量測定に関する研究

 麻酔科学講座は、臨床では手術麻酔を行う以外にペインクリニック・集中治療・緩和医療などを担当している。

 手術麻酔の領域では、心臓血管外科手術に対する麻酔・産科麻酔・小児麻酔など細分化されてきており、熊本大学でも専門性の高い診療を行っている。特に産科麻酔部門では、福田病院からの支援で産科麻酔学寄附講座を設置しました。産科麻酔学寄附講座を中心に、産科麻酔、特に無痛分娩の普及・研究を行っている。以前は硬膜外麻酔併用の全身麻酔が多く行われてきましたが、抗血栓療法などを行っている患者が多く硬膜外麻酔が施行できない患者様が増えてきている。そのため近年は、硬膜外麻酔に変わってエコー下に行う末梢神経ブロックが頻用されるようになってきている。このように、時代の変化に応じた麻酔管理を行っている。

 臨床麻酔は、当初手術時の痛みからの解放を目指して始まった。痛みは麻酔科の主要な臨床テーマであるとともに、研究テーマでもある。痛みには、手術後の痛み・外傷による痛みなど原因がはっきりしていて期間が限定された急性痛と、痛みの原因がはっきりせずに長期にわたる痛みである慢性痛がある。急性痛に対しては、オピオイドなどによる薬物治療に加えて末梢神経ブロックなどを行うことにより良好な成績をあげている。一方慢性痛に対して神経ブロックは無効であり、認知行動療法などのアプローチを用いた治療法の開発を行っている。

 臨床麻酔では、常に全身管理を行っている。この特徴を生かして麻酔科が集中治療を担当している大学が多い。熊本大学でも集中治療を麻酔科が担当し、手術患者の術後管理・内科疾患の増悪時の管理など、幅広く診療を行っている。

 緩和医療では、特にがん性疼痛が問題となることが多い。熊本大学では、痛みの治療になれている麻酔科が緩和医療診療の一翼を担っている。

 臨床研究では、エコーを用いた術前の胃内容量の評価を行っている。以前は全身麻酔を行うにあたり、胃内容を減らすために絶食時間を十分にとることが推奨されていた。近年は、ERAS(Enhanced Recovery After Surgery; 術後回復の強化)の考え方から術前の経口補水が重要視されてきている。そのため術前の絶食期間が問題となってきている。この課題に対して、エコーを用いて胃内容量を測定する研究を始めている。また、筋弛緩薬の効果、麻酔器の構造などの研究も行っている。

 基礎研究では、主に痛みの研究を行っている。現在臨床で多く使用されているα2δリガンドであるミロガバリンの作用機序・アセトアミノフェンの作用機序の研究を、ラットを用いて行っている。特にマイクロダイアリシス法を用いて下行性疼痛抑制系との関連に注目して行っている。

Anesthesiology is the scientific field that sought for the technique of pain relief during the surgery. Main theme of our department is pain. In clinical field, our main theme is the development of new cognitive behavioral therapy (CBT) for the treatment of chronic pain. In the basic science, we are studying analgesic mechanisms of acetaminophen and mirogabalin, an α2δ ligand, using rat formalin model. Although either acetaminophen or an α2δ ligand is a first line drug for the treatment of acute and chronic pain, the precise mechanisms of action was not clearly understood.