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総合医薬科学部門

分子遺伝学 Department of Molecular Genetics

部門
総合医薬科学部門
分野
代謝・循環医学

スタッフ

教授 尾池 雄一
oike(アットマーク)gpo.kumamoto-u.ac.jp
准教授 寺田 和豊
terada(アットマーク)gpo.kumamoto-u.ac.jp
講師 門松 毅

研究テーマ

  1. “慢性炎症”を基盤病態とする生活習慣病・癌に関する臓器横断的研究
     肥満やメタボリックシンドローム、動脈硬化性疾患に代表される生活習慣病あるいは癌に共通する基盤病態として“慢性炎症”が注目されている。“慢性炎症”では、比較的短期間に炎症反応の活性化と退縮を生じる急性炎症と異なり、長期にわたるストレス応答のために実質細胞と多様な間質細胞の相互作用が遷延化し、適応の破綻により不可逆的な「組織リモデリング」を生じて臓器の機能障害をもたらす。一方、組織リモデリングの前段階となる「低レベル炎症状態(para-inflammation)」においてもインスリン抵抗性や内皮細胞機能障害が誘導され、メタボリックシンドローム関連疾患や動脈硬化、癌の原因になり得る。“慢性炎症”の経時変化と病態との関連を明確にすることは生活習慣病の発症・進展の解明と新しい診断・治療・予防法の開発に必須である。本プロジェクトでは、“慢性炎症”の鍵となる「組織リモデリング」と、我々が従来研究を展開してきている小胞体ストレス応答、セラミド代謝経路、ANGPTL ファミリー分子との連関を、実質細胞と間質細胞の相互作用に焦点し研究を展開し、生活習慣病(肥満、メタボリックシンドローム、動脈硬化性疾患、眼科領域疾患、整形外科領域疾患)の発症・進展や癌の発症・浸潤・転移の分子機構解明及び新規治療戦略を目指す。
  2. 病態生理における小胞体ストレスの分子機構の解明
     当研究室では最近、過剰のNOによるアポトーシスやインスリン変異による糖尿病、脳虚血による神経細胞死などが小胞体ストレスを介する新しい経路でおこることを報告している。また炎症病態にも小胞体ストレスが深く関与していることを発見した。小胞体ストレスが関与する新たな病態を見出すとともに、小胞体ストレスシグナル伝達経路の全貌を解明しその意義を解明する。
  3. 分子シャペロンの研究
     動物細胞のサイトソルにはHsp70を中心とする分子シャペロンネットワ-クが存在する。タンパク質の折り畳みやミトコンドリア輸送における分子シャペロン系の役割を、ノックアウトマウスを用いて解明する。また、分子シャペロンによるアポト-シスの抑制のしくみを明らかにする。
  4. 生体におけるエネルギー代謝・糖代謝・脂質代謝の分子基盤の解明
     正常な『代謝』、つまり、消化・吸収された食餌成分のその後の代謝過程、個々の分子がたどる代謝経路、経路間の相互作用やそこで生じる新たな代謝産物の流れを制御する仕組み、貯蔵燃料の合成、消費(酸化、燃焼)を理解し生体の恒常性維持の分子基盤をエネルギー代謝、脂質代謝、糖代謝の制御機構の面から理解すること、さらにこれらの破綻としての病態であるメタボリックシンドロームの発症機構解明、新規治療法の開発を目指す。また、ES細胞、iPS細胞を用いた膵β細胞の再生医療開発への基盤研究を行う。

私たちの研究室では、加齢および加齢関連疾患(生活習慣病、がん、心血管疾患など)の発症・進展について、慢性炎症やミトコンドリア恒常性の観点から分子機構解明を行うとともに、その制御による新規治療戦略の開発を目的に以下の研究を推進している。

  1. 加齢および加齢関連疾患(生活習慣病、がん)発症の分子基盤解明
  2. 生体の恒常性維持とその破綻による疾患発症の分子機構解明
  3. 長鎖ノンコーディングRNAの生理的及び病態生理的機能解明
  4. 血中ANGPTL濃度と生理・病態との連関解析

The aim of our study is to elucidate the molecular mechanisms underlying aging and age-related diseases, such as lifestyle disease, cancer, and cardiovascular disease, and develop novel therapeutic strategies. For this purpose, we focus on chronic inflammation and mitochondrial homeostasis and conduct following research projects.

  1. Elucidation of the molecular basis for aging and the development of age-related diseases.
  2. Elucidation of the molecular mechanisms underlying the maintenance of homeostasis and the development various diseases caused by breakdown of the homeostatic mechanisms.
  3. Elucidation of the physiologic and pathophysiologic roles of long noncoding RNAs.
  4. Analysis of the association between circulating ANGPTL level and physiology or development of various diseases.