附属施設

エコチル調査(子どもの健康と環境に関する全国調査)南九州・沖縄ユニットセンター

 エコチル調査(子どもの健康と環境に関する全国調査)南九州・沖縄ユニットセンターは、平成22年7月熊本大学生命科学研究部附属の研究センターとして新設された。子どもは、天然・人工化学物質や社会・経済的要因など、さまざまな環境からのリスクに曝露されている。子どもに対する環境曝露の影響を理解し、環境曝露のリスクを低減する方策を探索するため、2010年、日本政府(環境省)は、出生コ-ホート研究(エコチル研究)を開始することを決定した。この研究はわが国ではじめての大規模・長期間の前向き疫学調査である。全国約10万人の妊娠中の家族を登録し、生まれた子どもが13歳に達するまで追跡調査を実施する。熊本大学はこのエコチル調査のユニットセンターの一つとして採択され、熊本県、宮崎県、沖縄県内5ヶ所の調査地域研究の統括を行う。本ユニットセンターは、調査地域内の参加者のデータを収集するとともに、子どもの健康と発達へ影響する環境要因に関する調査研究を行う。

臨床医学教育研究センター

 臨床医学教育研究センターは、熊本大学大学院生命科学研究部附属の医療人教育に特化したセンターとして平成22年10月に発足した。生命科学の急速な進展と最新科学技術の医療現場への導入により、医療技術は急速に高度化している。このような状況のもとで、安全かつ良質の医療を行う医療人の育成は、本学において急務の課題である。そこで本センターでは、「医療人教育及びその充実を図るための研究及び実践を行い、もって優れた医療人の育成に寄与すること」を目的とし、(i)医療人教育のシステム構築に関する研究、(ii)新しい医学教育体制に即したカリキュラム改革、(iii)学生参加型の臨床医学教育及び診療手技の実践教育、等に取り組んでいる。

健康長寿代謝制御研究センター

 2019年時点の調査で平均寿命と健康寿命の差は男性8.73年、女性12.06年となっています。現在の超高齢社会にあっては、この健康寿命を延伸させることこそが重要な課題と考えられます。この健康寿命の延伸のためには、糖尿病や心筋梗塞・脳血管障害などの代謝・循環器疾患、がん、認知症などの神経疾患、あるいは目や関節などの感覚・運動器疾患、などの発症や進展を阻止していくことが求められます。

 熊本大学大学院生命科学研究部では、このように健康長寿を脅かす「代謝・循環」、「がん」、「神経」の3領域を重点領域とし、老化・健康長寿研究の推進に取り組んでおり、平成30年5月1日に大学院生命科学研究部附属健康長寿代謝制御研究センターを設置いたしました。本センターは、「代謝・循環研究部門」「がん・幹細胞研究部門」「神経・感覚・運動器研究部門」「老化モデル研究部門」「疫学研究部門」「データサイエンス・オミクス解析研究・支援部門」「健康長寿研究・支援部門」の7部門から組織されており、熊本大学国際先端医学研究機構、発生医学研究所、生命資源研究・支援センターおよび熊本大学病院と密接に連携しながら、老化・健康長寿研究の推進、国際的な人材の育成を進めています。

生体情報研究センター

 現代の高度先進医療において深化を続ける診断技術は、臨床検査技術の開発・研究によって支えられています。これからの医療の継続的発展を維持するためには、大学における研究能力強化による新しい診断技術の研究開発の促進とそれを担う人材の育成が必要不可欠です。また、培ってきた検査技術を地域へ還元し、社会貢献を果たすことが求められています。生体情報研究センターは、新規検査技術の開発研究、高度医療専門職業人育成、社会への検査の提供を推進するた
め、熊本大学大学院生命科学研究部附属センターとして、令和3年4月23日に設置されました。本センターでは、熊本県および熊本市と連携し、新興感染症のスクリーニング検査や変異株の解析を行うとともに、新規検査技術の開発研究に取り組みます。さらにその活動を通じて高度医療専門職業人の育成を進めて参ります。

グローバル天然物科学研究センター

 グローバル天然物科学研究センターは、”画期的な新薬を開発し、国民の命と健康を守る”というミッションを果たすべく、アカデミアの強みを最大限に活用して得られるグローバルな研究連携体制を活用することによって、本学が有する天然物科学研究とUseful and Unique Natural Products for Drug Discovery and Development (UpRod)事業(世界各地の未だ活用されていない有用天然物を採取し、有効成分の抽出や薬理活性の評価を経て、創薬候補化合物の絞り込みおよび最適化を行い、最終的には製品化を目指す一連の天然物創薬プロジェクト)を推進するために設置された経緯を有する。本センターは、新たに7部門(天然物探索部門1(植物)、天然物探索部門2(微生物、海洋生物)、感染症・急性疾患評価部門、希少疾患・慢性疾患評価部門、製造・品質管理・分析部門、国際連携部門)を設置し、世界各地の天然物資源の保全に関わるネットワークの形成および人材育成の推進を担うと共に、様々な関連企業との連携によって、自然生態系と人々の健康が調整・調和する、グローカルな健康社会の形成というビジョンの実現に向け創薬研究を推進する役割を担う。

ワクチン開発研究センター

 ワクチン開発研究センターは、熊本大学がもつ多様なワクチン開発技術を基盤として、ウイルスに対する自然免疫・獲得免疫に関する免疫学、新興感染症に対するウイルス学、ワクチン投与デバイスの開発やワクチンの効果が十分に発揮できるような製剤設計等の分野融合を進め、予期せぬ新興感染症の発生に対して迅速に対応できる先端的なワクチン開発研究を推進するために設置された。本センターは、4部門(ワクチン基礎研究部門、投与デバイス開発研究部門、ワクチン製造研究部門、ワクチン臨床連携部門)から構成され、感染症に関する基礎研究から応用研究、さらには生産体制の整備や臨床試験の効率的な実施体制の強化を図ると共に、国内外の企業やワクチン開発・生産の実情に精通した人材との有機的な連携によって、新興感染症に対するワクチンを始めとしたバイオ医薬品の実生産体制の早期構築を推進する役割を担う。