山縣和也研究部長の後任として、2023年4月より大学院生命科学研究部長を拝命しました尾池雄一です。大変光栄に思いますと共にその重責に身が引き締まる思いです。これまで熊本大学から頂きましたご恩に報いることができるよう力の限り責務を果たしていく所存です。
国の財政が大変厳しい中、少子化が加速度的に進んでいる我が国では、大学の生き残り、役割/機能による大学選別が、より直近の深刻な課題となってきております。より強い企業として生き残るため連携や合併を繰り返し現在の枠組みとなり、さらなる統合が進行中の銀行、金融業界の例をみる限り、大学も現状の形態では済まされないことも容易に想像できるかと思います。現に、岐阜大学が名古屋大学と同じ傘の下に入った一法人複数大学の戦略に止まらず、国際卓越研究大学に向けて、東工大と東京医科歯科大学が一法人一大学となる東京科学大学として合併を決めるなど、大学同士の連携や合併が大きなうねりとなる兆しは既に始まっております。本学でも、2019年に鹿児島大学と大学の枠を超え、ヒトレトロウイルス学共同研究センターを設立しております。さらに地方大学においてそのうねりを加速・増大させる動きとして、”大学間の連携“が、基金化含め2,000億円が計上された令和4年度文科省第2次補正予算「地域中核・特色ある研究大学の振興」の申請の必須条件とされ、研究大学として存続し続けるためには、大学間の連携はもはや不可避であることも明確となりました。熊本大学大学院生命科学研究部が光輝く存在であり続け、使命である「研究活動を通して未来を創造する新たな知の創出と社会・人類の福祉への貢献」を達成するためには、各々の講座の頑張りは言うまでもなく、学部、講座、分野の壁を超えたOne Teamとなるよう力の結集が不可欠だと考えます。想像力を活かした柔軟性、情報力を活かした戦略性、行動力を活かした積極性で現在直面している様々な難局を乗り越え、将来を担う若手が活躍できる強く光輝く生命科学研究部の創造、発展に尽力していく所存です。
生命科学(医学、保健学、薬学)の教育・研究を担う者の責務、仕事量は益々大きくなっております。また、度重なる改革により想定外の突発的な経費の支出が増えております。運営費交付金が財源となる教育・研究関連の財政基盤には限りがあり、本学を含む多くの国立大学はその対応に苦慮しております。本学においては様々な改革において他大学に遅れをとることが無いように、くま医もん基金(熊本大学医学教育・研究基金)を設立しております。多くの皆様からご寄付頂いており、本当に深く感謝致しております。皆様におかれましては、引き続き、大学院生命科学研究部の教育・研究活動への尚一層のご理解、ご支援の程、何卒宜しくお願い申し上げます。
2023年4月